英語のCDを赤ちゃんに聞かせるだけで、バイリンガルに近づけるの?!


赤ちゃんの英語教育「うちの子は天才!」子どもが生まれたら、どの親もそんな気持ちになりますね。ちょっとしたしぐさや動きなど、実は他の赤ちゃんと大きく違う訳ではないけれど、わが子だけは特別輝いて見えてしまいます。そうなると、その(特別に見える)才能を伸ばして少しでも早くなにか将来に役にたつ教育をしてあげたい…と思ってしまうのも、また強い愛情と親心の表れだったりします。

子どもに習わせたいものの一つとして、常に上位にあるのが、「英語」。自分は、英語で苦労したから…、英語が出来ると将来役に立つから…、少しでも耳の柔軟なうちに…。そんな親の気持ちからか、英語学習のスタートはどんどん早くなり、お腹にいるときから始める教材や、生まれて間もないころから始めるプログラム等も開発されてきています。でも、費用もばかにならないし、本当はいつから何を始めればいいの??という、疑問や悩みを持つママ・パパも少なくありません。生後間もない時期から子守唄代わりに英語の歌やお話を聞かせる教材等もたくさんありますが、効果についても気になるところです。


Patricia Kuhl(米)のTEDスピーチ:「赤ちゃんは語学の天才」より

有名・無名に関わらず、様々な分野の人がプレゼンテーションを行うTED(Technology Entertainment Design)がTVやユーチューブなどで取り上げられ非常に注目を集めていますが、その中で、Patricia Kuhl(ワシントン大学 学習脳科学研究所所長)が赤ちゃんの第2言語習得に関して、興味深いプレゼンテーションを行っています。

彼女は、日本人の赤ちゃんと、アメリカ人の赤ちゃんに「r」音と「l」音を聞きとらせる実験を行いました。そうすると、6カ月から8カ月程度まではあまり差がでなかったそうですが、10カ月~12カ月頃にはアメリカ人に比べ、日本人の赤ちゃんの聞き取る成績が悪くなったそうです。では、この2カ月の間にどんな事がおこったのでしょうか?

Patriciaによると、赤ちゃんは、何でも統計をとってしまうという脳の働きがあり、第二言語習得に関してもそれが当てはまる…というのです。聞きとった音を脳の中で統計処理をし、その結果が脳に影響を与え、言葉の聞き取り能力に影響を与えていく…というものです。

つまり、育っていく環境の違いが赤ちゃんのききとり能力に大きな差を生んでいるというのです。アメリカの赤ちゃんは、「r」音と「l」音がはっきり区別された言葉をずっと耳にしていくわけですが、一方日本人の発音の中に、「r」「l」の明確な区別がなく、日本の赤ちゃんは、「r」と「l」がはっきり区別されない曖昧な音のなかで生活をしていきます。結果、統計処理上、圧倒的に多くの「r」音・「l」音を耳にしていたアメリカの赤ちゃんだけが、その違いを区別できる能力を高めていった…という事になるわけです。

その理屈で行けば、小さいときから英語のビデオを見せて、英語のCDをずっと流しておけば英語に触れる機会が増えて、「統計処理上」よい、影響を与えるということになります。早く、ビデオとCDを買いに行かなきゃ…!ということになりますが、Patriciaのスピーチでは更に興味深い研究結果が紹介されています。


直接話しかける事の重要性

別の実験で、中国語に触れたことのないアメリカの赤ちゃんに中国語を聞かせてどれ位聞き取れるようになるか…という実験を次の3つのグループにわけて行っています。
中国語のビデオを見せる、
映像はなく、音だけ聞かせる、
直接中国人から話しかける。
どれも同じ内容を12回行っています。
その結果は…、直接赤ちゃんに話しかけたケースのみ、好成績を残せたそうです。

赤ちゃんの子守唄代わりに英語の歌を流しておけば、英語のビデオを見せておけば、英語がしゃべれるようになるのではないの…?と思いがちですが、なかなかそう簡単には行かないようです。

英語が全くできなかった子どもが、英語圏で生活をするようになると物凄いスピードで英語を習得し、喋れるようになる…というのは、よく聞く話ですが、生活そのものが英語であり、友人や周りの大人が皆英語で話しかけてくるわけですから、当然なのかもしれませんね。

英語の音を楽しむ、苦手意識をなくす、という事に於いては、英語の歌やお話を小さいうちから流しておくことは、とても効果的なのかもしれませんし、それもまた、英語学習の第1歩と捉える事も出来ますが、それだけでコミュニケーションの手段としての「使える英語」が身につく…という事にはならない…というのが、一つの結論のようです。