咽頭がんと「食道発声法」とは?


syokudo音楽プロデューサー・つんく♂さんが、喉頭がんで声帯を全摘出しました。その後、声を取り戻すために、「食道発声法」によるリハビリに取り組んでいるそうです。一般的には、早い人で、1年ほどで声を発することができるようになると言われています。「食道発声法」は、声帯をなくしても、電気式人工喉頭を使うことなく、声を出すための発声法です。では、いったいどのようなものなのでしょうか。
 

咽頭がん:声帯を摘出しても声が出せる「食道発声法」

がんなどによって声帯を全摘出した場合、声を出すことは完全に不可能になります。けれども、声を失うと、日常生活や仕事に支障をきたしてしまいます。手術後話せるようになるためには、さまざまな方法があります。その例として、食道と気管をチューブでつなぐことで声を出す「喉頭形成(=シャント)」や、補助器具を使う「電気喉頭」などがあげられます。
電気喉頭は簡単に使用できる一方で、ロボットのような声になるため、声に抑揚がなくなってしまいます。また、喉頭形成はメンテナンスや手術が必要なため、コスト面での負担も大きくなります。
そんななか、「食道発声法」は、メンテナンスも手術も必要なく、器具を使わない上に、費用がかからない方法です。

咽頭がん:胃に空気をためて声を出す「食道発声法」

この発声は、胃に空気を取り込み、空気を逆流させながら、食道の入り口にある粘膜のヒダを振わせて声を出す方法です。つまり、ゲップをコントロールして出すことで、発声します。通常、ゲップは、飲み込んだ空気や、食べ物・飲み物に含まれる空気が胃にたまり、それが逆流するときに、食道の入り口にある粘膜を振るわせることによって、音が出ます。習得方法には3つあります。

(1)鼻や口から空気を飲み込む、飲み込み法
(2)舌で口のなかの空気を喉に押し込む、注入法
(3)肺呼吸とともに空気を吸い込む、吸引法

自然な声を出すには吸引法が最適です。けれども、この方法は難しいため、注入法や飲み込み法から覚えていく必要があります。飲み込み法で空気を食道に送り込むコツをつかみ、素早く注入法で飲み込めるようになれば、短い会話もできるようになります。

咽頭がん:体力のある人に向いている食道発声法

食道発声法は、ある程度の体力を要するため、加齢などで体力に自信のない人にはあまり向いていません。また、大声で叫んだり、長時間話し続けたりすることは難しいとされています。しかし、毎日の努力の積み重ねにより、歌を歌ったり、電話をしたりすることはできるようになります。つんく♂さんの頑張りは、喉頭がんなどによって、声帯を失った人たちに、希望を与えるでしょう。