精子すり替え事件報道を聞いて…|不妊治療技術の進歩とモラル


不妊治療技術者にはモラルが必要不妊治療のバリエーションの中で、人口授精、体外受精等、所謂生殖補助医療というものがあります。これらの治療では、質の高い運動性の優れた精子を選別し、子宮内に注入、もしくは体外で受精させる等して、妊娠確率を高める事に取組みます。不妊に悩むカップルが多い中、この生殖補助医療に対する期待、ニーズが高まっています。

直近の不妊治療技術についての報道

昨日、岡山大は、不妊治療の最先端技術の研究に取り組む生殖補助医療技術教育研究センターの活動を本格化させる事を発表しました。優れた医師、技術者を招聘し、不妊治療の一つである体外受精などを行う「胚培養士」の養成、最先端生殖医療研究に取り組むとのことで、不妊治療に対する社会的ニーズの増大を受けた動きの一つと言えるでしょう。

不妊治療プロセスでの精子すり替え?!

不妊治療プロセスの中で、卵子、精子が他人のものとすり替るリスクを考えた事がありますか?勿論、通常そんな事は起こらないのですが、もし生殖補助医療技術に関わる技術者のモラルに問題があり、恣意的に精子・卵子のすり替えを行ったとすれば、悲劇的な事態に陥ってしまうことでしょう。

そんな悪夢のような事が実際にアメリカで起こってしまいました。アメリカのユタ大学関連施設で医療技術者が、患者の精子を自分のものとすり替えていた…のです。この施設で、不妊治療を受け産まれた子供の父親が、実は、精子サンプル準備担当の技術者(故人)であった事が判明したとのこと。彼は、他に約1000組の不妊治療を担当しており、そのうち精子すり替えを何件行ったのかについては、記録の不備、当該施設の閉鎖、本人が既に死亡している事もあり、解明は難航しそうな模様です。

まとめ

このように、生殖補助医療を取り扱う技術者のモラルに問題がある場合、深刻な事態が引き起こされてしまいます。

どんなに技術が進んでも、実際に治療を行うのは人です。そして、責任ある行動をとる事を支えるのが、個人のモラルであり、制度としての管理制度です。不妊治療技術の進歩に対する積極的な取組が必要であるように、不妊治療技術を取り扱う人間のモラル・見識、管理体制等についても、同様に充分な取組が不可欠であることを、ユタ大学のケースは雄弁に物語っているのではないでしょうか。