高齢出産のリスクと人生設計|正しい知識を持ち妊娠・出産時期を決めよう


高齢出産をする?しないは、賢明な人生設計に基づいて去年2月にNHKクローズアップ現代で高齢出産、不妊治療の現状を取り上げた「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」が放送され、大きな話題になりました。話題になった理由は、高齢出産、不妊治療の現実を、クリアーに伝えた内容が、ある種の衝撃を視聴者に与えたということでしょうし、従来高齢出産、不妊治療における医療技術の目覚しい進歩に、一般の理解が追いついていないことの裏返しなのかもしれません。本日は、この高齢出産について説明します。

高齢出産とは?

高齢出産とは、35歳以上の女性が出産することです。
妊娠し出産する能力は、11~12歳で獲得され、一般的には50歳前後で失われます。
妊娠・出産の時期、状況、取り巻く環境などの個人差異がとても大きい為、女性の年齢別の出産能力を客観的に測ることは不可能ですが、従来の経験則としては、10代後半~30代前半までが妊娠と出産の能力にとって最適な時期であり、30代後半以後は卵子や子宮の能力が低下し、40代後半では妊娠・出産ともに極めて難しくなると言われています。

高齢出産の背景ー晩婚化

日本では女性の晩婚化が進行した(2012年には、初めて出産をする母親の平均年齢が30・1歳と、30歳を超えました。)ことの影響で、出産総数の対する高齢出産の比率が2000年以後の10%台前半より2008年以後は20%台前半を占める程、高齢出産比率が増加しています。
この晩婚化、晩産化のトレンドを受け、本来は、病気のために妊娠が難しい女性の為にあった体外受精、人工授精等の生殖補助医療技術ですが、困難な高齢出産の為の手段として考えられる傾向が強くなっているのも最近の顕著な動きです。

この生殖補助医療技術の向上により高齢出産の妊婦が安全に出産する可能性は増大していますが、未だ高齢出産についてはリスクが伴います。高齢出産のリスクは「高齢妊娠」に関するリスクと「高齢分娩」に関するリスクの2つに分類されます。

高齢出産のリスク

高齢妊娠のリスク

年齢が高まるほど卵子の質が劣化し、染色体異常などが起こりやすくなり、新生児のダウン症の発症率が増加します。

高齢分娩のリスク

高齢分娩の場合、妊産婦死亡率が高くなる、流産・早産する危険性が増加する等のリスクが高まります。(40歳を過ぎると20~24歳の妊婦死亡率の20倍以上にまで高まると言う報告があります)

このような高齢出産のリスクや生殖補助医療等高齢出産を取り巻く状況については、必ずしも一般的に正しく理解されているわけではないため、その内容と対応について啓蒙の活動が必要との声も高まっています。
2月8日に、徳島大学産科婦人科は、妊娠を考えている女性やその家族150人を集め「高齢出産のリスクや不妊治療の現実等」をテーマにした市民公開講座を開催したとの報道がありましたが、晩婚化、晩産化が進む中、「妊娠はあたりまえ」という時代から、「正しい知識をもち、努力して妊娠する」という時代になりつつあるということなのでしょう。

子供を持ち育てるには、お金も時間がかかります。仕事に差し支えるという事もあるでしょう。子供は欲しいければ、出産は、経済的、時間的余裕ができてから、という考えのカップルも多いと思います。これら出産を躊躇するファクターに対して充分な社会的施策が打たれているかと言えば、日本の現状はまだまだ遅れていると言わざるを得ません。とは言え、子供を産むのに最適な時期である10代後半~30代前半を逃すと、子供を持つ可能性は低くなり、また妊娠・出産のリスクも高まります。また不妊治療には、多大な時間と費用が必要になるケースもあります。

こういった状況において正しく賢明な意思決定をする為には、出産を行う女性は勿論、パートナ、家族も含めて、妊娠・出産について正しい理解をした上で、人生設計を行う事が必要です。