23年間喫煙を続けた彼女がタバコを止められた訳~「吸いたい気持ちをコントロール」する「マインドフルネス」とは!?


禁煙

新年を迎えるたび「今年の目標!禁煙」と宣言する人が、沢山います。そして、その中の多くの人が、次の年もまた同じ目標を…。女性の場合は、結婚や出産を意識し始めたころ、真剣に禁煙に取り組む人が増えてきます。禁煙補助剤の助けを借りてみたり、セミナーに通ってみたり、禁煙ハウツー本を読んでみたり…。でも、やはり、簡単にはいかないようです。

1月6日付けabc NEWSによると、Yale大学の大学院生Michelle Morganさん(35歳)もそんな一人でしたが、12歳(!?)から始めたという喫煙の習慣を、たった数週間で完全に止める事に成功しました。どんな方法を用いたのでしょうか?

それは、現在、日本でもストレス対処法の一つとして少しずつ注目され始めている「マインドフルネス」を用いた禁煙方法でした。「マインドフルネス」とは?そして、それを用いた禁煙方法とは??


Michelle Morganさん(35歳)のケース

彼女も、様々な禁煙方法を試しています。いきなり喫煙をストップして試みたり、医薬品を用いたり。でも、どれも上手くいかず、そんな中たまたま目についたのが、「マインドフルネス」を用いた禁煙セッション開催のチラシでした。上手くいくわけがない…と思いながらも、University of Massachusetts Medical SchoolのJudson Brewer 博士のセッションに参加してみる事に…。

そこでMorganさんが教えられたのは、1つの事でした。それは、タバコを吸うときに、何となくではなく、「吸いたい・吸っている」という状況をきちんと「意識をする」事。そして明確に意識することを手助けするために行ったのが、日誌をつける事でした。そこに記録するのは、喫煙時のタバコの味・臭い・身体の感覚や、タバコを吸いたくなった時の、ありのままの気持ち…などなど。それは、自分自身を客観視する事にも繋がって行く作業でした。

結果は、3週間程度で禁煙に成功。それ以来一度もタバコを吸っていないそうです。Morganさん、いわく、「もちろん吸いたくて、うずうずする事はあったけれど、結果的に吸わずにやり過ごす事が出来た。それは、タバコが吸いたい…と思っても、その気持ちが消えるまで、どうすればいいか、今の私はわかってるから…。」

彼女の言葉から伝わってくるのは、彼女の体験した禁煙方法が、従来型の禁煙方法…つまり、タバコを吸いたいという気持ちを起させないようにしたり、口寂しさをガムやキャンディーで紛らわせたり…というやり方ではなく、吸いたい気持ちをどうコントロールするか…という点にポイントがおかれていること。この辺りに、「マインドフルネス」を用いた禁煙プログラムの最大の特長とヒントがありそうです。


日本でも注目されつつある「マインドフルネス」とは

日本心理学会の定義によると、「マインドフルネス」は、「今ここでの経験に、評価や判断を加える事無く、能動的な注意を向ける事」と定義されています。難しい表現ですが、簡単に言えば、「何かを行う時、今、その瞬間自分が行っている行為や自分の感情に集中し、注意を向ける。」という事です。ある行動パターンを変えたい…と思っている時には、そうすることによって、単に行動を抑制するだけでなく、感情や思考といった脳の領域に直接働きかけることなる…と考えられています。

これをMorganさんの禁煙のケースに当てはめてみると、タバコを吸いたくなった時に、何となくその欲望に流されるのではなく、その状況を強く意識し、記録する事で、彼女はタバコを吸いたいという自分の状況を客観視する事ができ、その欲望(タバコが吸いたい)に対して、いかに対応すればよいかという「気づき」を得る事ができたのです。その結果、自分が求める新たな行動パターン(タバコを吸わない)に繋がっていった…、と考えられます。気づくことで、行動が変わり、行動が変わることで、長い間成功しなかった喫煙習慣を変える(=止める)事ができた、と分析する事が出来るでしょう。


喫煙を意識する事。それが禁煙への一番の近道!

「禁煙は意志のチカラ!」という人も少なくありませんが、長い間に身に付いてしまった習慣を変えるのは、なかなか難しいもの。誰にも思い当たる事があるでしょう。Brewer博士いわく「喫煙や食べすぎがよくない事は、みんな知ってる。しかし、『知っている』だけでは行動を変えられない。心から変えたいと思ったら、まず『意識する』事だ。」

今回は、禁煙との関係で「マインドフルネス」を取り上げましたが、心理療法の一つとして、うつや不安、慢性の疼痛などの軽減にも既に応用されつつあります。Brewer博士とそのグループは、Morganさんが彼の研究室で学んだ「マインドフルネス」の手法を用いた禁煙プログラムを体験できるスマホ用アプリも開発したとか。今後日本でも、様々な分野で注目が集まりそうです。